遠距離介護が始まった…

突然起こった親の介護問題。なにもかも初めてで手探り状態ながらも、自分なりのスタイルを模索している実践記

本当にこれで良かったのか

病院へ向かう列車の車窓風景。雲が垂れ込めて重苦しい感じが今の気持ちとマッチしてる。


昨日は病院で経過報告をうける日だった。
主治医は淡々と状況を話し、リハビリ担当の3人の先生からの近況をきく、続いて看護師さんからの報告。日中や夜中に大声で叫ぶことが多かったが、胃瘻後に鼻のチューブや拘束用の手のミトンがとれたことで少しずつ落ち着いてきていると。
最後は、主治医が退院後のことを早めに決めて欲しいとのこと。

「何か質問はありますか?」

急に聞かれても、すぐには思いつかない。

腕と足の拘縮を軽減するために行った「ボツリヌス注射」は思ったような結果にはならなかったという。そこで、その治療を今後も継続するのか聞いてみた。

「効果が認められないので、痛い思いをさせることはないと思う。
 治療費も高いので継続はしない。」

私の心の声:えーっ!その注射すごく痛いの〜?知らなかった。

「この治療をしている病院は少ないので遠くまで通院する必要があり、施設や自宅に戻ったら病院までは家族が連れて行かなければいけない。それができるなら続けてもよいかもしれないけど、効果があるかどうかはわからない。患者にも家族にもかなりな負担だと思う。」

私の心の声:どっちやねん!高くても、連れて行くのが大変でも、回復の見込みがあれば何でもするけど、見込みは薄でわからんって。。。中途半端な答えやなー。

「気持ちを落ち着けるための薬を投与していたため、夜は眠れるようになってきた。この薬は身体の機能を低下させるので「ボツリヌス治療」は効果が出にくかったかもしれません。」

私の心の声:???精神を落ち着ける薬?眠剤飲んでるのは知ってたけどセロトニンのような普通の眠剤じゃないの!!

「入院期間は最長で150日と決まっている。もう残りわずかになってきたので、次をどうするか早く決めないと施設の手配とかができなくなって困りますよ。現状以上の回復は見込めないので、そのつもりで考えてください。」

次々と言いたいことだけいって
「じゃぁ、後はサポートスタッフにお任せします」
と言い残して去って行った。

年末12月の報告ではそんなこと聞いてないよ。
あのときは悩みに悩んで主治医が薦める胃瘻の決断をした。

消灯後や明け方に、たまに不安定になって、大声で叫んだり泣いているとは聞いていたけど。。。
もっと事細かに聞いておけば良かった!!!
素人の私には何を聞けばいいのかもわからないし質問が思いつかない。

 

実際にはどんな感じなのか。
どんな1日を過ごしているのか。


コロナ禍で面会は一切できず、
病院での様子は全くわからないまま決断を迫られる。
どうすればいいのだろう。

 

 

翌日、看護師さんが I-pad のフェイスタイムで母と話しができるようにしてくれた。

「見えますかー。しばらくお話ししていてくださいね」

そう言って立ち去ろうとするので、

「母に眼鏡をかけてください。眼鏡がないと見えないので」
と私がお願いする。スグに眼鏡を探してかけてくれた。

始めはニッコリ笑顔だったけど、1〜2分後にはウトウトしだした。

先週までは寝かせてあげようと思って
「じゃぁ、切るねー」
といってフェイスタイムを終了していたけど、今日は粘って私一人がしゃべり続けた。
時々目を開けるので
「おかあさん、おはよー!」
といって手を振ると、嬉しそうにニッコリ微笑んでくれる。

「昨日はよく寝た?」
「どこか痛いとか苦しいとかない?」

と尋ねても無言。返事はない。


途中で、母が
「どうなってるかわからない」
と口にした。

私は
・病院にいること。
・リハビリしていること。
・母が倒れて入院したこと。
・コロナで面会が叶わず申し訳ないこと。
・こうして話しができることを心から嬉しいと思っていること。
・私が母の真似をしても足下にも及ばない。母はスゴい人だと心から思っていること。
いろいろと話しかけた。


だんだん母の表情が不機嫌な感じになっている。


そして、母が顔をゆがめてつぶやいた
「つかれた。しんどいからもういい」


私はスグに、
「じゃぁ、切るね。バイバイ」
っていって通話を切った。

 

フェイスタイムは約10分だった。
わずか10分。

このあと母はどうしているのだろう。


看護師さんは近くにいない様子だったから、
不快的な状態のままガマンしているのだろうか。
人を呼びたいけど、声を出しても誰もきてくれない。
何かしてあげたいけど、どうすればいいのかわからない。

 

手足の拘縮は動かすと痛みがあるという。
パジャマやシーツのほんの小さなシワでも褥瘡(床ずれ)ができるらしい。
これは介護の勉強をして知った。

母は毎日、つらい思いをしているのか。
快適で安らかな思いになることはあるのか。
褥瘡はできていないだろうか。
身体の痛みはどうだろうか。


そして、本当に胃瘻をして命をつないでよかったのか。


かえって、ツラい思いをさせているだけなのでは。。。。
と思うと後悔で胸がいっぱいになった。

本当にどうすればよかったのだろう。