遠距離介護が始まった…

突然起こった親の介護問題。なにもかも初めてで手探り状態ながらも、自分なりのスタイルを模索している実践記

揺れる心

介護がスタートして早々に私は大阪に戻った。

いつまでも私が福井にいると、
実際の老老介護生活が実感できないと思ったから。

そして、私の遠距離介護生活が始まった。
母には、携帯電話の契約を「カケホーダイ」に切り替えて、
料金を気にせずに、いくらでも話せるようにしてもらった。

母から様子をきいては
「こんなモノがあったら便利かも。。。」と思うモノを
次々リサーチして送り続けた。
防水シーツ、パジャマ、お掃除グッズ、消臭剤、身体を拭くローション、頭を洗うシートなどなど

でも、シーツ一つをとっても
種類が多く、どれがいいのかわからない。
素材を調べ、口コミをチェックし、価格を比較し
納得いくまでリサーチをすると、
あっという間に一日が終わってしまう。

仕事どころではない。。。。 

道具が一段落すると、
次は食品に、、、お菓子やレンジでチンするだけの簡単総菜。
これは好評だったので、月に1度は送っている。
セブンイレブンの総菜シリーズだ。
豚の生姜焼きやハンバーグ、1人分がパックになっていてレンジで温めるだけでOK。
しかも、おいしい!
ときどき鈴波の粕漬けも混ぜて、
たまには贅沢をしてもらう。 

そんな中、
父と母の単調な生活には刺激となっているようなので、
たびたび福井へ顔を出すようになった。
始めは週に1度、最近は月に1度くらい。
仕事も本格的に再開して、少しずつ忙しくなり、
顔を出す頻度が減ると同時に
電話はどんどん頻度が高くなり、
いまではほとんど毎日かかってくるようになった。

でも、母の頑張っている姿をみると、
私が代わってあげないといけないのかも。。。とも思うようになってきた。
今の仕事を辞めて、一切合切を片付けて福井に行くべきなのか。
少しでも母の負担を軽くする方が大切なのではないか。

すべてを犠牲にして介護に捧げるのは気持ちよく聞こえるけれど、
本当にそれが幸せといけるだろうか。
なにもかも捨てて、福井へ行き、介護にすべてを費やした果てに
私がたったひとり残った後、どうなるのだろうか。。。

自分も老齢になり、仕事も再開することはできないだろう。
収入もなく、限界集落のような地でひとりで過ごさなくてはならないのだ。 
雨露はしのげても、それだけ。
生産性はゼロ。私自身の老後はそれで幸せだろうか。

両親に仕えた満足感はあるだろう。
やり遂げた達成感もあるだろう。
でも、その後も、私は生きていかなくちゃいけない。

悶々としながらも
自分を犠牲にしても、両親の介護をするべきだ
という義務感がぬぐえないのだ。 

だが、犠牲の上に成り立つ介護って、一体何だろう。
介護する方、される方の両方にとって、本当によいのだろうか?
犠牲のない介護はないのだろうかと思うようになった。 

大阪に残るのは両親を見捨てるみたいで、心苦しい。
でも、私がしっかり稼いで、経済的に安心させてあげるほうがよいのではないのか。

自分の身の振り方をあれこれ考えている。
人生のターニングポイントにきているのかもしれない。